少し変わった隣人Aさんと、謎多き占有者Mとの不思議な共同生活の様子を前回の記事に書きました。
任意売却って何?という方はこちらの記事先にご覧ください。
Mは果たして金銭目的の悪意の占有者なのか、はたまた只の『おとぼけ迷惑野郎』なのか?!
隣地の購入を意識しだしてから、Mの生活実態が気になって仕方がありません。
井戸端会議にはきちんと参加し、奥様方のご近所トークをくまなく拝聴。
加えて引き続きリビングからMの動向を見守りました。
母の友人がママをやっている小料理屋には、たまにAさんがMを連れて飲みにくるそうです。
もちろんそこの支払いも全てAさんです。
常連さん一同、
「早く追い出さないと全部食い尽くされるぞ。」
なんて、彼を心配して言うそうです。
けれど当の本人は、自宅を取り上げられてからのMの生活を心配する始末。
けれど、隣地の購入を希望している私たちとしては、お人よしですむ問題でもありません。
任意売却か競売か。揺れるこころ
競売、任意売却どちらにせよ、のんびり悩んでいる時間はありません。
任意売却の場合は、開札が始まってしまうと競売を取り下げることができません。
そもそも、開札前日になって『任意売却でいいよ』なんて、どこの債権者も言ってくれるはずがありません。
つまり、任意売却でまとめたいのなら、開札前日までに決済まで終わらせておく必要があるのです。
競売に必要なスキルはリサーチ能力
競売の場合は、裁判所の資料をよく読んで、自分の足を使い物件に致命的な瑕疵がないか調べます。
特に権利関係が複雑な物件などは慎重に調査します。
隣近所におかしな人がいないか、当該物件でおかしな事件がなかったかを近所の人に聞いて回ったりもします。
そのうえで、入札しても安全だと思える物件ならば入札します。
少々の手間はありますが、手続き自体は素人にも簡単にできるものです。
任売に必要なスキルは交渉力とパイプ
けれど任意売却の場合は、債権者と売却金額の話し合いをして納得してもらわなければなりません。
抵当権がたくさんついていて債権者が多数に及ぶ場合は、全ての債権者の合意を得て、抵当権を抹消してもらわなければなりません。
また、ほかに固定資産税や国民健康保険料など税金の未納による差し押さえがついている場合は、さらに厄介なことになります。
任意売却ではこのように、交渉力と、債権者やその窓口に対してのパイプが必要になります。
競売で住宅ローンを使うことは可能だけど、スケジュール管理が超重要
実は競売でも住宅ローンを使うことができます。
けれど決済までの具体的な段取りとスケジュール管理がとっても重要になります。
なぜなら、競売の場合にはローン特約(※)が使えないから。
(※)ローン特約
もしも住宅ローンの審査に通らなかったら、売買契約を白紙にしてもいいよ、という特約。
一般的な不動産売買の時にはほとんどの場合適用されます。
契約書にも明記されているはず。
競売の場合、めでたく落札すると、あなたに売ってもいいですよと裁判所から『売却許可決定』をしてもらいます。
で、大体1か月くらいを目安に〇月〇日までに代金納付してねと『代金納付期限』が決められます。
この代金納付期限までに必ず落札代金すべてを払わなきゃいけないのです。
(※)基準価格
当該物件を不動産鑑定士により評価された金額のこと。
入札の条件に、保証金の支払いが含まれます。
つまり、代金納付は落札代金から保証金額を除いたもの。
そもそも、本当に落札できるかわからないような競売に、融資していいよと言ってくれる銀行があるかどうかも微妙。
特に我が家は自営業なので、住宅ローン自体めちゃくちゃ厄介なのです。
それに、とにかくわけのわからないAさん宅の住人達。
お互い素性を知っているし、状況も状況なわけで、逆恨みされたりしても困ります。
(※)強制執行
落札代金納付が済めば、晴れて落札者が所有者になります。
それでも占有者が居残っている場合は『不動産引き渡し命令の申し立て』をします。
すると、裁判所が占有者に対して『不動産引き渡し命令』を出してくれます。
それでも占有者が立ち退かない場合は『強制執行の申し立て』を経て、『強制執行』を催告、断行します。
強制執行の断行となると容赦ないです。
鍵が開かなければ鍵屋さんがこじ開け、抵抗して暴れたりしたらお巡りさんもやってきます。
有無を言わさず、回収業者によって家の中の荷物をすべて運び出されてしまいます。
競売になったときの懸念
- いつまでも居座られる
- 強制執行となると費用はAさん負担だけれど、回収は難しそう
- 強制執行による逆恨み
- ローンがうまくいくか不安ありすぎ
さあ、どうやって話を進めていこうか。
悩んでいるところへ、小料理屋のママからとってもタイムリーな新しい情報をゲットするのです。
任意売却へのカウントダウンが始まった!誰かが現場を嗅ぎまわっている?
小料理屋のママの話によると、Aさんのところへ『私なら競売にならないためのお手伝いができるかも』と突然不動産屋さんが訪ねてきたようです。
『その人が助けてくれるかも~』なんて言って喜んでたよ、と当の本人は相変わらずの呑気っぷり。
ママがそっと手渡してくれたメモには、なんとなくこんな名前だったかしらとママが記した不動産屋の名前が書いてありました。
実はこのころ、わたしもAさん宅に新たな動きがあったことに気が付いていました。
Aさんの家には
役所の人っぽい人(仕事でずっと役所回りをしていたので、プンプンにおいます。)
不動産屋っぽい人(これもプンプンにおいます。)
が、ちょくちょく家の周りをうろうろ嗅ぎまわっていました。
Aさんに会うたびに
「競売になっちゃうかもしれなくてさ~
早く引っ越し先見つけないといけないんだけどさ~
なにしろMにとられちゃって金が無くてさ~」
なんて話を聞かされていたので、とりあえず、うちが購入を検討していることはひとまず伏せて
と聞いてみると、案の定、うれしそうに
「それがよ~
わざわざ東京の不動産業者がこの前うちに来てさ~・・・」
と、今どういう状況なのか話してくれました。
Aさんの話からわかった現状
税金の未納による差し押さえが入っている(公売)
住宅ローンに関しては、差し押さえが入る前までは未納は無かった(現状は未納)
東京の不動産会社(Sハウジング)が、任意売却を打診してきている
住宅ローンの未納の場合、はっきり言ってしまえば、競売になったり自己破産をすることによって支払い義務がなくなります。
ところが税金の未納となると、競売になって住宅を取り上げられようが自己破産をしようが関係なく、未納分がゼロになるまで支払い義務が消えません。
金融機関などでは、抵当権の順位によって債務金額よりもうんと低い分配金であっても、提示した売買代金に納得してくれる場合も多々あります。
また、税金の未納の差し押さえの場合は、どの抵当権よりも優先されることが決められています。
なので、税金がらみの任意売却の交渉は厄介な場合が多いのです。
早速、インターネットでSハウジングについて調べてみました。
任売や競売に特化した不動産のようで、私としては安心してお任せできると感じました。
善は急げです。
「Aさんの隣に住んでいるものですが、購入を検討しています。」とすぐに電話をして伝えました。
すると、「競売が始まってしまっては元も子もないので早急にお話を伺いに行きます」と、次の日には我が家に来てくれることになりました。
Aさんは当然、Sハウジングの担当者の顔を知っているわけですから、もちろん『こっそり』な訪問となります。
うちが購入を検討し、Sハウジングとパイプがつながっていることは、この時点ではまだAさんは知らないのですから。
Sハウジングの担当者も占有者Mの存在は把握しています。
こちらは小さい子供もいますし、立ち位置のよくわからない占有者を刺激するわけにはいかないと、ここは慎重に、です。
とは言えなんといっても、Aさんはお隣ですから、玄関先で鉢合わせすることも考えられます。
〇時ちょうどにインターホンを押します。
もしもAさんやMが出てくるそぶりがあれば、Aさん宅に訪問したかのように装って、いったんAさん宅にお邪魔します。
まるで、超重要ミッションを任されたスパイのごとく、念入りに電話でシミュレーションしました。
任意売却のスペシャリスト【おひょいさん】現る
当日は念入りなシミュレーションが功を奏し、定刻通りに我が家に来てくれたSハウジング。
こんな安い案件に、東京からわざわざ車で1時間ほどのこの場所に、2人でやってきてくれました。
主人が年長の担当者と玄関で挨拶を交わす中、私がまず感じたこと。
そう、昭和生まれなら誰でもが知る『おひょいさん』こと藤村俊二さん(激似)が我が家を訪ねてきたのです。
平成生まれはおひょいさんでググってください。
これが私とおひょいさん(激似)との初めての出会いでした。
ちなみに、一緒にやってきたもう一人の男性はおひょいさん(激似)の息子氏。
そして、このおひょいさんこそ、とにかく頓珍漢なAさん、ミステリアスな一見悪人風Mをも凌駕するほどの特濃キャラの持ち主だったのです。
こうして、我が家の任意売却完結までの戦いの火蓋が切って落とされたのです。
To Be Continued・・・
続きはこちらからどうぞ!
任意売却だと相場よりも安くなるというのは本当です【だけど超絶面倒】