これまで、競売や任意売却に関する記事をいくつか書きました。
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この記事にも書いている通り、任意売却という特殊な取引によって相場よりも安く家を購入することができました。
我が家の体験談を踏まえても、家を少しでも安く購入したいという人や収益化を考えている人にとってはお勧めしたい取引です。
とは言え普通の不動産売買と比べると、とても複雑で面倒の多い取引です。
けれど『任意売却』とインターネットで調べてみると、売りたい人の情報ばかり。
本記事では、任意売却での購入に興味のある方に向けて、知っておくべきことを解説します。
- 任意売却って普通の取引と何が違うの?
- どうやって取引を進めるの?
- 任意売却について勉強するためには?
任意売却で購入したいのなら仲介業者を挟むべき
不動産投資をしている人の中には仲介業者を挟まず自分で取引をしている人も多いかと思います。
ただ、任意売却の場合は仲介業者を間に挟むことを強くお勧めします。
任意売却で仲介業者を挟む理由
- 一般売買よりも難しい取引だから
- 売主とトラブルになりやすい
- 今後のお付き合いにつながる
一つずつ簡単に説明します。
任意売却は一般売買よりも難しい取引
一般売却は売主と買主2者間の取引です。
売主や買主が共有名義で複数いたとしても、立場としてはその2つのみ。
図で説明するとこんな感じ。
シンプルです。
物件価格や取引の細かい条件など、売主と買主の両者が納得すればOK。
知識と経験のある人ならば、仲介業者を挟まなくとも契約することができます。
一方、任意売却はというとこんな感じ。
取引の中心は債権者です。
物件の価格やそのほかの条件の決定権も債権者にあります。
また、売主の債務状況によってはもっと複雑なパターンもあります。
債権者が1社とは限りません。
複数の金融機関で物件を担保にお金を借りていたり、税金の滞納がある場合はその分債権者が増えていきます。
任意売却による売買を成立させるためには、これらの債権者全員の同意を得なくてはなりません。
特に債権者が多い場合は末端が回収できる金額はごく僅かだったりします。
となると当然、同意をもらうのも難しくなります。
何しろ、任意売却はスピードが命ですから、個人で全員と交渉するとなると物理的にも大変です。
売主とトラブルになりやすい
絶対に忘れてはいけない大事なことがあります。
それは、売主には借金、貧困、家族の死、病気など深い悩みがあり、ハッピーな人はいないということです。
仕事で買主(会社)の代理という立場でたくさんの売主と面談をしてきました。
総じていえることは、皆さん今の状況を誰かに話したいようです。
- どうしてこんな事になったのか
- 誰のせいでこんな事になったのか
- 自分の人生はこんなはずではなかった
リアルな知人にはなかなか相談できない内容だからか、このような『不幸話』から始まることが多いです。
中には感情的になって、途中で怒り出したり泣き出したりする人もいます。
私のように、買主の代理、しかもいちサラリーマンという立場でなく、これが個人間のやりとりだったら。
もしかすると、『自分たちの大切な家を取り上げようとしている敵』とみなされてしまうかもしれません。
今後のお付き合いにつながる
任意売却の取引の始まりには次のような3つのパターンがあります。
- 売主自身が仲介業者に相談する
- 金融機関が仲介業者に直接相談する
- 管財人が仲介業者に直接相談する
このうち、売主自身が仲介業者へ直接相談する場合でも、誰かに「今売れれば競売は免れますよ」と助言を得ている場合がほとんどです。
例えば
- 金融機関(債権者)
- 管財人
- 競売の資料を閲覧した仲介業者
です。
ともかく、このように債権者や管財人が「これを売ってくれないかな」と直接仲介業者に情報を渡すことがあるのです。
となると仲介業者は、懇意にしている『素早く決断して現金を用意できそうな人』から声をかけていきます。
具体的に言うと
- 住宅の買取業者
- 投資家
です。
つまり、債権者や管財人とのパイプがある仲介業者とうまく取引を成立させれば、今後も優先的に任意売却に関する情報を教えてくれる可能性があります。
任意売却で優位に買いたいなら専門業者に頼むべき
仲介業者は、いわゆる大手の不動産屋ではなく、競売や任売に精通している業者のほうがうまく話がまとまる可能性が高いです。
仲介業者に求める任意売却に必要なスキルは以下の4つです。
任意売却に必要なスキル
- 保証会社や銀行など債権者とのパイプ
- 専門的な知識
- 高い交渉力
- 明け渡しのノウハウ
債権者とのパイプがあるというのは大事なスキルです。
なぜなら、『相手の出方』がわかるから。
私の体験談を読んでいただいてもよくわかると思います。
また、任意売却では明け渡しの条件交渉がネックになる場合があります。
また競売と違って、強制的に明け渡しを命令することができないので、明け渡しのノウハウも大切なスキルになります。
任意売却で優位に買いたいなら勉強するべき
いろいろな業者さんがいますが、任意売却を専門に取り扱っている仲介業者は、そうでない業者とは別物と思っておきましょう。
手取り足取りすべて段取りしてくれて、何から何まで丁寧に説明してくれるという繊細さはあまり期待しないほうがいいかもしれません。
むしろ、細かい問題に対処できるように買主自身も勉強が必要になるでしょう。
我が家の例でいうと、占有者の問題がありました。
もしも権利関係のトラブルの場合、お金では簡単に解決できない事もあります。
さすがに、仲介業者が間に入っているにもかかわらず権利関係があいまいなまま売買するなんてことは今時ないでしょうけど
- 業界特有の言い回し
- 専門用語
- 任意売却の大まかな流れ
任意売却で不動産を購入したいと考えているならば、ある程度頭に入れておく必要があると思います。
普通の不動産取引も同様ですが、少しでもこちらが優位に取引するためには、取引の全体を俯瞰的に見渡せることが大事です。
常に相手の一歩前にたって、相手の反応を予測しながら動かなければなりません。
仲介業者にある程度任せることは必要ですが、すべて言われたまま、流されるままでは任意売却の『うまみ』を見逃すことになりかねません。
任意売却で不動産を買いたいなら具体的に何から勉強するべき?
では、具体的にどのように勉強するのがベストか。
本を読んで全体の流れと専門用語を理解する
まずは不動産取引の大まかな流れを理解しましょう。
もしも不動産投資を検討しているのなら宅地建物取引主任者の教本は見ておいたほうがいいでしょう。
任意売却関連の書籍もあったほうがいいですね。
任意売却を勉強するならば競売についても一緒に勉強したほうが理解が深まります。
裁判所の3点セットを読んでみる
大まかな流れがわかったら、債権者と債務者との関係をより具体的にイメージしてみましょう。
任意売却は特殊な状況なので、売主の心情などを理解することが交渉の中で必要になってきます。
おすすめとしては裁判所の競売資料を読んでみることです。
競売物件閲覧はこちら
BIT 不動産競売物件情報サイト
3点セット
- 物件明細書
- 現況調査報告書
- 評価書
3点セットを読んでみると、より具体的に競売の流れやリスクなどを理解しやすくなります。
3点セットの中に聞き慣れない言葉が出てきたら、そのたびに本やインターネットで調べてみるといいでしょう。
物件はたくさんありますので、自宅の近くなど土地勘がある場所の物件を選ぶといいと思います。