続きの記事になります。
初めての方は、こちらからご覧ください。
その1 任意売却で家を購入したら理想の家が建てられるかも【なぜなら私がそうだから】
その2 不動産屋へ飛び込みで行って最高にいい物件情報をもらうには?
インターネットの広告で見つけた、なんだか訳ありな予感の中古住宅。
書いてある住所をもとに、自ら現地を探し歩く。
とうとう見つけたその家は、手を加えればきっといい家になると思えるような穴場物件だった!
プリントアウトしたチラシを手にJ不動産へ内覧を申し出る。
今回の記事では、実際に内覧をした時の様子をご紹介します。
住宅買取業者として家の査定をしていた筆者が、実際の内覧の流れを軸に中古住宅の値下げ交渉ができる内覧の仕方を伝授します!
どれも大事なポイントなので最後まで是非ご覧ください。
- 中古住宅の内覧ではどんなことをチェックすればいい?
- 値下げ交渉が有利になるためにできることは?
- 内覧に持って行ったほうがいいものは?
中古住宅の値下げ交渉のヒントは売主さんの話にある
J不動産のKさんに、さっそく内覧の手配と日にちの段取りをしてもらいました。
当日は、主人の仕事の調整がつかず私一人で見に行くことになりました。
Kさんは、とてもびっくりしている様子で
「お一人ですか??」
と聞いてきました。
これだけ買う気満々で問い合わせしてきたので、内覧が終わったらそのまま『買い付け』までたたみこめようと思っていたのでしょうか。
ちょっと、肩透かしを食らわせてしまったのかもしれません。
物件に思い入れのある売主さんの場合はとにかく褒める
買主さんは年配の女性でした。
数年前にだんなさんが亡くなったそうで、今はお一人でこの家で暮らしているとのことでした。
だんなさんは大工さんだったそうで
「この家は、お父さんが作ったのよ~」
と、盛んにおっしゃっていました。
「そうなのよ~。だれか、気に入ってくれる人がいたらいいんだけど~」
なんて、世間話をしながら家の中を見せていただきました。
こうして、『売主さんが物件に対してどのくらい思い入れがあるか』を探りながら話をします。
実はこれが結構重要です。
「一生懸命働いて、やっと買えたんだ」とか
「いろんなこと調べたりして、一から十まで自分で選んで建てたのよ」とか
そんな発言があったりすると要注意。
そういう売主さんの場合は、値下げ交渉をするときに家の短所を指摘してはいけません。
あくまでもこちら側の予算やタイミングの問題で、と話を持ってくとうまく話がまとまったりします。
誰でも自分の大切なものにケチを付けられたくありませんよね。
逆に自分が大事にしているものを褒めてくれると嬉しいものです。
例えば
こんな感じでお値下げをお願いします。
自ら物件の短所を言う売主さんには現実的なことを指摘する
逆にこちらが何も言っていないのに
「もう古い家だからあちこちボロボロで」
「忙しくて何にも手入れできなかったから恥ずかしい」
なんて言う売主さんもいます。
例えば
「水回りの床がブカブカしているからリフォーム代が結構掛かりそう。」
「キッチンを新しくして綺麗にしたいから現金を残しておきたい」
こんな感じです。
売主さん自身も、物件を気に入ってくれる人が現れるか自信がないので、こちらが買いたい姿勢を見せると交渉に応じてくれることが多いです。
話したがりの売主さんのおしゃべりはよく聞くこと
また、話したがり屋の売主さんだと、こちらが聞いてなくても
「いついつ雨漏りしたことがあります~」とか
「あといくら残債があるから苦しいんだ~」なんて言ってくれちゃったりします。
この場合は売主さんが雨漏りの事実を知っているか知っていないかが重要です。
なので、雨漏りのカミングアウトを聞いたときは必ず「雨漏りがあったんですね?」と聞き返すことにしています。
また、残債がいくらあるか知ることは、価格交渉の際に重要な切り札になります。
残債がいくらだから、この辺までは値下げしてもらえるかもしれないと考えられるからです。
中古住宅の値下げ交渉のために内覧で見るポイント
話は我が家の内覧の現場に戻ります。
南向きに建っている家なのに、家の中は思った以上に真っ暗でした。
家の南側すれすのれところに建っている大きな倉庫のせいで、1階も2階もほとんど太陽の光が入ってこないような状態でした。
内覧当時は赤い斜線部分に大きな鉄骨の倉庫が建っていました。
図面を見て気に入っていた広縁がある二間続きの和室は、欄間や床の間など昔ながらの立派なものでした。
けれど、暗くてかび臭くて陰気な気配すら感じるほどでした。
まずは家の外側をチェックする
日当たりが著しく悪い家や、ずっと空き家の状態でしばらく窓を開けていないような家では、湿気によるカビ被害が深刻な場合があります。
もともと水田だった地域や川の近くに建っている家などによく見られます。
あとは南側真正面の家にも見られることがあります。
地域によっては、何の変哲もない普通の住宅地なのに、外壁がカビやコケだらけの家がやたら多い地域があります。
そこで、昔から住んでいる人によくよく話を聞いてみると
『昔、このあたりいったいは沼だったんだ。』
なんて言われることがあります。
水分を多く含んだ土地は軟弱な地盤の場合もあるので、家の外からの湿気には要注意です。
私が内覧したこの家は、モルタル吹き付けの外壁に少しクラックがありました。
けれどそこから水漏れしている様子もなく、カビやコケも見られませんでした。
思ったとおり、あの無駄に大きすぎる倉庫さえなければ、この家は生まれ変わると確信しました。
歩幅を小さくして歩こう
湿気が気になる家の場合、深刻な被害が考えられる場所としては、表面上のカビなどではなく『躯体の中』になります。
壁の内側や床下などは、畳や壁紙のように貼りかえてしまえば元通りというわけにもいかず、リフォームをするにも大掛かりになってしまいます。
- 洗面所
- 脱衣所
- 洗濯機置き場
- トイレの便器の接地面
- 脱衣所と風呂場の境目の床
は特に要注意です。
床を踏むとブカブカしている場合があります。
踏むとギシッと音をたてて、足が沈み込むような感じです。
クッションフロアが黒くカビだらけになっているところは、床の下地材やその下の根太が腐っている場合もあります。
もちろん、根太を補強したり組み替えたりするところからリフォームすれば問題なく使えます。
入居してからのリフォーム代を正確に把握するためにも、しっかりチェックしましょうね。
私が内覧した家は
- 洗面所兼脱衣所
- 風呂場
- トイレ
この3つがすべて北側に一列に面しています。
北側全面が広い駐車場になっていて遮るものが何もないので、太陽の光は届きませんが日中ずっと安定的に明るく、深刻なカビ被害はありませんでした。
とはいえ古い家なので、扉のかまちのあたりの床がキシキシしていたり、洗面台の下の床がブカブカしていました。
床下は必ず覗いてみよう
古い中古住宅では、このように洗面所の床がぶかぶかしていることってすごく多いです。
仕事上、何件も何件も家を見てきましたが、本当にそう思います。
もしも洗面所に床下点検口を見つけたら、売主さんに断わって床下を見せてもらいましょう。
実は床下を実際に覗くことは、湿気による劣化をチェックする以外にもっと大事な理由があります。
参照:日本しろあり対策協会HP
洗面所の床下点検口が見つからなければ、キッチンの床下収納でもかまいません。
扉を開けて、収納庫をはずすと建物の基礎がしっかり見られます。
目視では暗くてあまりよく見えません。
話は我が家の内覧に戻ります。
昭和60年に建てられた家なのですが基礎はベタ基礎。
シロアリの被害も見られません。
私は床下だけでなく、押入れの中の天井裏など入れるところはどこでも入って確認します。
内見の際は、ぜひ動きやすい格好で行ってくださいね。
中古住宅を購入してリフォームをする予定の方も多いかと思います。
どのくらいリフォームに予算を取ったらいいかを知るためにも、ぜひ床下を見せてもらってください。
リフォーム金額を出しておけば、後々の価格交渉の材料にもなります。
天井はくまなくチェックしよう
シロアリの被害と同様に、中古住宅の内覧で絶対見逃してはならないのは、雨漏りの被害です。
売主さんとの会話中、自然な流れで『今まで雨漏りしたことありますか?』とサラッと聞いてみましょう。
私の場合、古家つき土地など瑕疵担保がつかないような古い物件を探していたので、ここはじっくりとチェックしました。
雨漏りの場合、実際に大雨が降ってからでないとわかりません。
けれども、『雨漏りをしたことのある場所』なら内覧で見つけることができます。
背の高い箪笥などが置きっぱなしの場合も、よくよく観察してください。
- 色が変わっている(シミ)
- 天井のクロスが剥がれている
このような場合は要注意です。
もしその場に売主さんもいるならば、それとなく
と尋ねてみてください。
今回の内覧では、2階建ての住宅なのに1階の天井に大きなシミを見つけました。
ところが2階へ行って確認すると、2階の天井にはまったく雨漏りの跡は見られません。
不思議に思って売主さんに確認すると、2階の部屋に置いていたとても大きな水槽が割れて、部屋が水に漬かった事があるとのことでした。
気になったことがあれば、どんなことでも売主さんや不動産屋の営業マンに聞いたほうがいいです。
中古住宅の値下げ交渉を有利にする内覧の持ち物
間取り図(平面図)
営業マンにもらいましょう。
やる気のある営業マンなら、言わなくとも持ってきていると思います。
筆記用具
気になることがあったら、間取り図に何でも記入してください。
天井のシミや、床のぶかぶかなどリフォームが必要そうな場所も。
カメラ(スマホ)
フラッシュが使えるもの。
床下などの暗い場所を撮影するためはもちろん、各部屋2方向以上は撮影しておくといいです。
リフォームが必要になりそうな場所も撮影しておくと、リフォーム屋さんとの打ち合わせがスムーズになります。
メジャー
あると何かと便利です。
入居後に使いたい家具など、気になる場所ははかっておくと参考になります。
収納の内部などを測りたい場合は内寸メジャーがあると使いやすくてお勧めです。
ライター
中のオイルが見える、使い捨てのライターです。
家の傾きがどのくらいか、水平器の代わりに使います。
窓の桟などに置いて、オイルの傾きをみます。
ポケットに入れておいてサッと使えて目立たないので便利です。
マスク
人が住んでいない物件の場合はカビや埃など、空気が汚れていることがほとんどです。
私は必ず内覧の際にはポケットにマスクを忍ばせています。
中古住宅の値下げ交渉を有利にする内覧のポイント まとめ
ここまで書いたことをザックリまとめてみます。
中古住宅の内覧をするときのポイント
- 売主さんの話をよく聞く
- 家の外側や周辺の住宅もチェック
- 水回り周辺は床の異変に気を付ける
- 床下を撮影する
- 天井のシミがないか探す
- 気になるところがあれば質問する
中古住宅の場合は売主も買主も、物件の現状に対する認識をすり合わせておくことが大切です。
売主さん自身も気が付いていない瑕疵がある場合があります。
黙々と物件を見て回るのではなく、一つ一つ売主さんに確認しながら内覧しましょう。
長い間住んでいなかったり実家の処分なんて場合は、売主さんがその場にいないケースがほとんどです。
中古住宅を内覧するときの持ち物
- 間取り図
- 筆記用具
- カメラ
- メジャー
- ライター
- マスク
とにもかくにも、ところどころ若干の床のきしみはありますが、躯体に大きな問題はなさそうでした。
内覧をしてみて、ますますこの物件を気に入りました。
そのあと、Kさんと一緒にJ不動産へ戻って物件に関する資料などを受け取ります。
いつも、まず一番先に謄本をチェックします。
この物件が、同じ地域のほかの売り物に比べて安いのには、当然『理由』があります。
『室内の日当たりを極端に悪くしている、大きすぎる倉庫』はそのひとつになります。
けれど、それ以外のもっと大きな大きな『理由』が謄本には隠されていました。
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