私は、間取りを作るときにまず収納から考えました。
それは、部屋に物があふれていないすっきりとしたモデルルームのような暮らしが理想だったから。
それに関しては次の記事で詳しく手順を書きました。
収納計画の成功のカギは『行動メモ』を書く事です。
この行動メモをたくさん書いているうちに、必要な収納量のほかに見えてくるものがあります。
それは家族一人一人の動線です。
今回の記事では
- 収納スペースの広さは大体つかめたけど、間取りの決め方がわからない
- 家族の暮らしにあった、もっとオリジナルな間取りの決め方を知りたい
という人のために、
行動メモを使った注文住宅の間取りの決め方を、我が家の実例を使って解説します。
注文住宅の間取りの決め方の極意は『収納を知る者は間取りを制す』です
まずは行動メモのおさらいから。
行動メモとは・・・
家族一人一人の行動をメモしたもの。
朝起きた時から夜寝るまでの間すべての行動をメモして、その時に必要な物をピックアップする。
収納計画のための大事な作業。
色々なパターンで、家族全員の1日の行動を細かく書いていきます。
何度も何度も繰り返すうちに、どんな物が自分の家には多いのか(多く必要なのか)がわかってきます。
その逆もしかりです。
収納は、そこに住む人をうつします。
趣味や生活パターン、好きなことや嫌いなこと。
収納しているものによって住む人のライフスタイルがわかります。
収納を知るということは、あなただけのオリジナルな間取りに一歩近づくという事なのです。
注文住宅の間取りの決め方は、夢や理想的な暮らしをどれだけ想像できるかが肝
一般的な住宅の場合、1階に玄関があり、一番日当たりもよく快適な場所にLDKがあるのが普通ですよね。
余ったスペースに脱衣所と浴室。
2階に寝室や子供部屋という間取りが多くみられます。
はじめから完成されている建て売り住宅ならともかく。
1から10まですべて思い通りに作ることができる注文住宅なのに『一般的』な住宅と同じでは、もったいないと思うのです。
理想的な暮らしって、人によってバラバラです。
いくつか例を挙げてみます。
- 夜勤がある仕事で寝る時間がいつもバラバラだから、家族に気兼ねしないで休みたい
- お風呂が大好きだから明るくて開放的なお風呂にしてみたい
- リビングから絶景を眺めたい
こんな理想の暮らしを、建て売り住宅のような画一的な間取りで叶えることができるでしょうか?
- 玄関のすぐ隣が寝室
- 南側の一番いい場所にお風呂
- 方角に関係なく好きなところに窓をつくる
理想や夢を叶えるためには、どんな間取りにしたっていいのです。
そのためには自分の夢や理想の暮らしがどういうものか、具体的に想像することがとっても大切。
こちらの記事では、それらをどのようにイメージするのかヒントを書いています。
全然何も浮かばない・・という人は是非参考にしてみてください。
既成概念にとらわれないビックリするような発想の転換が、自分達の暮らしにあった素晴らしい家をうむかもしれません。
せっかくのそのチャンスを、自分達の生活を全く知らない出会ったばかりの設計士さんにすべてお任せしちゃうなんてもったいない!
その他大勢の人の暮らしにあう『一般的な家』にしてしまうのは残念だと思うのです。
自画自賛になりますが、行動メモのいいところは未来をイメージするきっかけになるところ。
- 子供が大きくなったら・・・
- こんな仕事に転職したら・・・
- あんな趣味を始めたら・・・
こうやって未来を想像するときって、少なからず夢や憧れが含まれているもの。
そんな未来の夢さえ見据えた間取りが、あなただけのオリジナルな間取りです。
注文住宅の間取りの決め方がわからなければ、いろんな間取り図を見てみよう
行動メモを書き続けていると、家族一人一人の動線が明らかになり、快適な動線とそれに沿った間取りが見えてくるはず。
もしもまだその域に達していないのならば、すでに出来上がっている間取りをいくつか見てみるのもアリです。
例えばこんな間取りはどうでしょう?
建て売り住宅に有りがちな間取りです。
夢を叶えるオリジナルの間取りとは、
- ここが○○だったらいいな・・・
- こんな○○が欲しいな・・・
というわがままの塊です。
この間取り図を見て何を思いますか?
例えば、
- 趣味のゴルフ用品を玄関に収納したいから、これよりも広い玄関かシューズクロークが欲しいな。
- 子供がよく友達を連れてくるからリビング階段は嫌だな。
- 仕事柄、汚れて帰ることが多いからリビングを通らないで浴室へ行きたいな。
こんな風に、この家で暮らしたらどんなところが不満になりそうか想像してみてください。
当て馬的にいろいろな間取り図を見てみると、自分の潜在的な希望に気づくことがあります。
こうしたい、ああしたいという夢や理想が、間取りと結びつかず全然イメージできない!
という人には、とりあえずザックリとした希望を伝えたうえで間取りをプロに作ってもらうのもおすすめ。
注文住宅の間取りの作り方【実践編1】まずはフロアプランを考えよう
理想の家のイメージが固まってきたでしょうか?
行動メモがある程度集まったら、まずはフロアプランから考えてみましょう。
フロアプランとは
どの階にどの部屋を配置するか決めること
大概のお宅の場合、建てられる家の広さはある程度決まっています。
なので、パズルの様に部屋を埋め込んでいくしかないというのが正直なことろ。
ですが、とりあえず一つの部屋を決めてしまえば、行動メモを見ながら簡単に動線を整理することができます。
ひとつ、核となる部屋を決める
面積が広い部分から決めていく、というのも一つの手です。
ですがここではオリジナルな間取りを作るためのポイントをご紹介します。
夢を叶えたい部屋とは具体的な例として
子供が部屋に引きこもらず家族同士が顔を合わせる時間を大切にしたい
⇒玄関とリビングがつながっているといいかも・・
車が好きだから、自家用車を眺めて暮らしたい
⇒リビングの中に車を入れられるような間取りはどうかな・・
遠くの山を眺めながら料理がしたい
⇒2階のほうが遠くまで見渡せるかな・・
外が眺められ、かつ外から見えないようなお風呂が欲しい
⇒住宅密集地なら浴室は2階がいいかも・・・
夢を叶えるためには1階か2階かもしくは3階か。
どこのフロアにあるのがいいかな、と考えます。
我が家の例をあげながら解説します。
この記事にも書いた通り、ゆるい2世帯同居が建て直しのきっかけでした。
1階はほぼ母のスペースが占めています。
また、駐車場を広く作りたかったので、建坪を増やすより階数を3階に増やすことしました。
なので、必然的に子世帯である私たち家族の生活スペースは2階と3階ということになります。
近頃は建て売りでも3階建てって見かけますよね。
大体こんな間取りだと思います。
こんな感じもあるかしら。
細かい違いはあるかもしれませんが、
- 1階は駐車場メインで空いたスペースにお風呂か部屋ひとつ
- 2階は家族が集まるスペース。LDKがメイン
- 3階は寝室や子供部屋など個人の居室
こんな感じが一般的ですよね。
だけど我が家の理想の家は
明るくて開放的なうえに、レースのカーテンをひかずにいつでも外が眺められるリビング
だったのです。
- 2階か3階か、どちらのほうが眺めがいいか
- 2階か3階か、どちらのほうが日当たりがいいか
- 2階か3階か、どちらのほうが開放感があるか
- 2階か3階か、どちらのほうがプライバシーが保たれるか
答えは歴然ですよね。
ならばリビングは3階にしよう、となったわけです。
核となる部屋から頭の中で移動しながらフロアプランを考える
核となる部屋が何階かが決まったら、頭の中で移動してみましょう。
行動メモを見ながら、いろいろなパターンで繰り返してみてください。
一番動線が複雑な家事動線から考えてみるといいかもしれません。
また、消去法でもいいです。
我が家の例だと・・・
子供たちが汚れて帰ってくるからお風呂は1階がいいな。
↓
そうすると必然的に脱衣所も1階だな。
↓
そしたらスペース的に寝室や子供部屋は2階だな
↓
ってことは家族のクローゼットは2階だから、洗濯物を干すのは2階がいいかな
こんな感じに。
こうしてお風呂、脱衣所、寝室、子供部屋、ベランダ(物干し用)のフロアプランが決まりました。
注文住宅の間取りの決め方【実践編2】フロアごとにゾーニンングしてみよう
各階に何を置くかが決まったら、今度はフロアごとに見てみましょう。
ここでポイントは、無理に間取り図を書こうとしない事。
ざっくり、ここら辺が玄関で・・・
ここらへんがリビングで・・・
でOKです。
基本的に住宅の建築では間(けん)という単位が使われます。
1間(いっけん)が約1.82m(1820mm)です。
(建築の場合はメートルよりもミリメートルが常用されます)
畳の長い辺が1間、短い辺が半間とイメージしてください。
例えば正方形の4.5畳の部屋だと1.5間×1.5間になります。
建築業界では半間(0.91m/910mm)をベースにした数字が使われることが多いです。
細かい間取り図(平面図)を書こうとするならば
- 一般的な廊下の幅
- 一般的なトイレの広さ
- 一般的な洗面所の広さ
- 希望のユニットバスの大きさ
- 階段の種類とサイズ
など、「だいたい○○はこのくらいの広さ・・・」ということが頭に入っていないと難しいです。
なので、素人は図面をきっちり書こうとするのではなくゾーニングで十分です。
ちなみにどうしても自分で書きたい!というのならこの本がおすすめです。
生活上の基本的な動作の寸法がわかるので、間取りを考えるうえで必ず役立ちます。
例えば我が家の場合。
上の図面が最終的な平面図です。
こちらが上の平面図をゾーニングしたものです。
このように、どこに何があればいいか分かればOKなのでザックリで大丈夫。
ゾーニングのポイント
ゾーニングのポイント
- 行動メモを見ながら動線をたどる
- 隣の部屋は何がいいかを考える
これだけです。
家族一人一人の動線をイメージします。
難しかったら、とりあえず家事動線から。
全体的に見るのではなく隣は何の部屋がいいかな・・・と考えるといいです。
例えば浴室の隣は脱衣所があるほうがいいわけですよね。
お風呂に入る前にトイレへ行く習慣のある人は隣にトイレもあったほうがいいかも・・・
こんな感じに隣の部屋を決めていきます。
ゾーニングで配慮するべき事
音に配慮する
上下階、隣同士などの音を配慮しましょう。
例えば
ホームシアターを買って子供たちが寝た後に夫婦で映画を見たい!
このような人は、子供部屋の近くにリビングを設けないほうが音量を気にせず映画が楽しめますよね。
新居では夕飯を持ち寄る女子会を月一で楽しみたいな。
このような人は、夫婦の寝室の近くにリビングを設けないほうが、旦那さんが寝てからも女子トークを楽しめます。
日当たりに配慮する
日中、部屋の中に人がいる部屋を優先して部屋の場所を決めていくといいかもしれません。
専業主婦なので昼間はいつも家にいます。
このような方はリビングの日当たりの時間を重視するといいです。
家じゅうの掃除を終わらせた後のリビングの至福の時間を充実させて下さい。
日中は在宅で仕事しています。
このような方は仕事部屋の日当たりを考慮すべきです。
明るい仕事場もいいですが、北側の安定的な光も魅力的です。
ふとした時に見上げる窓からの景色にこだわる、というのもいいかもしれません。
子供部屋も同様です。
南側を子供部屋にする人が多いようですが、『勉強する部屋』という意味では北側もおすすめです。
日中、安定的な光が差し込むので眩しくなったり暗くなったりせず、一定の明るさが保たれます。
小学生以上になると、日中子供部屋は無人になるので南側に子供部屋を設けるのはもったいない気もします。
景色に配慮する
我が家では最重要項目でした。
もちろん借景でも大丈夫。
2階以上の部屋ならば景色にも考慮してみるといいかもしれません。
注文住宅の間取りの決め方をここまで実践できたら、あとはプロに任せましょう
ゾーニングまで決まればあとはプロにお任せすることをおすすめします。
工法にもよりますが、壁や柱の位置など希望だけではどうにもならないことがあります。
- 行動メモ
- 収納計画
- ゾーニング図
この3つを設計士さんに見せましょう。
この段階では、行動メモを繰り返しチェックすることで家族の動線をかなり濃くイメージできています。
なので、設計士さんに希望を伝えるときはかなり細かく言えるはず。
また、ここまでしっかり建てたい家のイメージがはっきりしていると設計士さんだけでなく営業さんにも熱意が伝わるはず。
私の場合は、この熱意でだいぶ無理を聞いてもらえました。