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中古住宅を買おう 競売・任意売却

任意売却だと相場よりも安くなるというのは本当です【だけど超絶面倒】

任意売却だと相場よりも安くなるというのは本当です【だけど超絶面倒】

第3弾の記事になります。

まだご覧になってない方はこちらの記事からどうぞ。

任意売却のことだけサクッと知りたいという方はこちらの記事をご覧ください。

前回の記事で、隣人Aさんに任意売却(任売)を持ちかけているSハウジングおひょいさんとパイプがつながったところまで書きました。

これ、前回の記事にも書きましたが、任売って交渉力と経験、債権者らへのコネが必要な難しい取引なのです。

任売や競売を得意とするSハウジングの出現は、我が家からしたらとっても重要な転機でした。

今回は

  • 任意売却がどうしてそんなに難しい取引とされるのか?
  • 任意売却をうまくまとめるために必要なこと
  • 任意売却だとどうして安くなるのか
  • 任意売却で占有者がいるとどうなる?
この辺のことを我が家のエピソードとともに深堀していきます。

なぜ任意売却のプロ【おひょいさん】とタッグを組むことになったのか

なぜ任意売却のプロ【おひょいさん】とタッグを組むことになったのか

まずはSハウジングのおひょいさんの話をしましょう。

完全に私の私見ですが読者の皆様のイメージが広がるように、ビジュアル的なことから書いてみます。

確認したわけではありませんが、一見したところ年齢は60代後半くらい。

こ洒落たクラシックなスーツをパリッと着こなし、胸元にはいつもサテン生地のハンカチーフを忍ばせています。

風貌はまさに藤村俊二さん、つまりジェントルマン。

小さい体を少しかがめて、両手をテーブルの上に組みながら、終始ニコニコしてこちらの話を聞いてくれます。

だけど、目の奥が笑ってないよ・・

なんだかとてつもないオーラを感じます。

獲物を狙ってる鷹のような目だよ・・

物言いもすごく穏やかだし、ヒアリングもとてもうまいです。


打って変わって同行してきたおひょいさんの息子氏は、なんともほんわか系。

このアンバランスな感じが癖になりそう。

息子氏は数年前におひょいさんが経営するSハウジングに転職したそうで、現在絶賛修行中。

基本的にはおひょいさんがリードするかたちの打ち合わせとなりました。

土地の価値や物件の規模からして、都内の海千山千のおひょいさんがわざわざ出向いてくるような取引ではありません。

実際、競売入札や任意売却に持ち込もうとしている場合、近隣への聞き込みを含める物件調査がとても大事です。

けれど、隣地である我が家へSハウジングが話を聞きに来たことは一度もありません。

意外と地続きの隣の家が購入する、なんて我が家のようなウルトラC級のラッキー売買があったりしますからね。

近隣を訪問して話を聞くって言うのは、仲介業者的に言うと初歩的な営業でもあります。

仲介業者的に言うと初歩的な営業

たぶん、Sハウジングは3点セット(競売の入札を検討するのに使う、物件目録)を見て、ちょっと現地調査がてら来てみたんだと思います。

もしかしたら、こちらのほうに何か特別な用があって、そのついでにAさんに名刺を渡しに来たのかもしれません。

そのうえで、お金にならなさそうだから適当にAさんに挨拶して帰って行ったのだと思われます。

つまり何が言いたいかというと、おひょいさんと息子氏にとっては、積極的に『とりに行く』ような案件ではないということ。

ここで我が家が名乗り出たことは、棚から牡丹餅のようなものだったんだと思います。

 

いよいよ幕開け。任意売却のプロと緊急会談

いよいよ幕開け。任意売却のプロと緊急会談

我が家は任意売却推し

まず初めに、我が家が競売よりも任売を希望する理由が2点あるとお話ししました。

第一にはちょっと変わっている隣人Aさんが、本当のところどんな人なのかよくわからず、落札後に逆恨みをされたりトラブルになるのが嫌だから。

特に、今回はAさん以外の占有者Mもいますしね。

それから、もうひとつ大事なこと。

住宅ローンの審査がうまくいくのか不安があったから。

競売の場合、保証金を払って入札して、落札後に残金をすべて払う仕組みになります。

落札できなければ保証金は返金されますが、無事に落札できても残金を払えない場合は没収されます。

競売での住宅ローンでも、一部の銀行では審査がおりるとも聞きます。

けれど、落札できるのかどうかさえわからないような机上の空論のような話に加えて、我が家は自営業。

なおかつ数年前に新築を建てて住宅ローンを組んだばかりでは、条件が悪すぎると思うのです。

競売で打診するよりも、任意売却で購入する準備が整っているというスタンスで銀行に打診するほうが、きっと審査も通りやすいでしょう。

それならば、ローン特約(※)がない競売よりも、任意売却できちんとローン特約付きの契約書を取り交わすほうがリスクが少ないと考えました。

(※)ローン特約

もしも住宅ローンの審査に通らなかったら、売買契約を白紙にしてもいいよ、という特約。

一般的な不動産売買の時にはほとんどの場合適用されます。

契約書にも明記されているはず。

そんなことを含めて、まずは我が家の希望からお話しました。

 

ローンが不安なら入札代行という手もあり

ローンに関しては、Sハウジングに代理で入札、落札してもらい、Sハウジングから購入するという方法もあります。

その場合は入札と同時進行で、売買契約書と販売図面をS不動産に作成してもらい、それらを持参して銀行の事前審査を受ける必要があります。

つまり、競売と一般売買の両方の準備をしなくてはなりません。

どんな方法にせよ、スケジュールはとてもタイトな期間です。

また、落札したところでうちのローンが確実に実行されなければ保証金を没収されてしまいます。

競売には慎重な構えをみせるおひょいさん。

 

入札代行には代行手数料が発生する

おひょいさんのSハウジングでは、入札価格によって段階的に入札代行料が決められていました。

詳しい金額は忘れてしまいましたが、物件の売買代金のほかに競売の入札代行の金額が必要になるとのこと。

入札前(保証金※)と、落札できた場合は落札後の2度必要になると言われました。

(※)保証金

入札の条件に裁判所に支払うお金のこと。

通常、当該物件を不動産鑑定士が評価した額(基準価格)の2割。

落札した場合、期日までに残金を支払わなければ保証金は没収され、2番手の落札者に売却される。

 

競売では最低限の入札価格で一発勝負も可能

競売の場合、裁判所によって買受可能価額というものが決められています。

この買受可能価格よりも、高い金額でしか入札することができません。

うらを返せば、購入可能な最低金額が決められているわけです。

だれも入札しないような物件の場合は買受可能価額ぎりぎりで入札する、という勝負に出ることもできます。

Aさんの自宅の隣に住んでいるわけですから、この場所の土地の価値もわかっています。

建売業者(土地を安く購入して新築を建てる業者)は区画が分けられるような土地を好みます。

幅狭の旗竿状の地型(敷延)なので、建売業者が手を出すとも思えません。

買い取り業者で働いていた経験から、このような感覚は持ち合わせていたつもりです。

Aさんの家を入札してくる人なんて、たぶん我が家くらいのものです。

おひょいさんを信じるな!不動産屋が本当のことを言っているとは限らない

けれどおひょいさんはしきりに

「ほかの業者が手を出してくるかもしれないから買受可能価額では難しいかもしれない」

と言います。

落札できないかもしれないし、入札しても高くつくかもしれないから任売にしたほうがいいよ、という話にもっていきたいのだと感じました。

たぶん、そのほうがおひょいさん的にも旨味があるのでしょう。

結果的には、もともと任意売却での取引を希望していたので、その辺はある程度スムーズに話はまとまりました。

けれど、おひょいさんはニコニコしながらもすべて本当のことを言っているわけではないんだと、身が引き締まる思いになりました。

当然といえば、当然のことですけど、ね。

 

任意売却だと相場よりも安くなるというのは【ほぼ】本当です

任意売却の売買代金はこちらの言い値でOK

ちょっと語弊があるかもしれませんね。

具体的には、家の価値がどうとかではなく、残債を鑑みて関係者全員で金額を交渉していくことになります。

極端な言い方をすると、こちらが提示した金額で債権者が納得すれば取引成立なわけです。

これが任意売却の不動産屋さんに交渉スキルとパイプが必要な理由でもあるわけです。

もともと一般売却で通常の販売図面を出していて、蓋を開けてみたら任意売却だった、というパターンもあります。

一応相場は加味されるのですが、そもそも債権者がいる話なので、一般的な売買による金額の決め方とは違ってくるのです。

任意売却の販売価格の決め方

とりあえず、近隣の取引事例を調べます。

なるべく安い事例の販売図面を集めます。

もちろん、Aさん宅の条件(面積、築年数など)に近いものでなければいけません。

こうやって、相場よりも低い金額ベースで債権者と交渉する金額を決めていきます。

販売事例を根拠に、「ここの相場ってこんなもんだから、これくらいで勘弁してくださいよ」と交渉していくわけです。

任意売却のほうが債権者にとっても得

地域差はありますが、多くの場合、取引事例金額は競売の買受可能価額よりも高くなります。

また、競売の場合は入札してくれる人がいなければ、一銭もお金が回収できません。

債権者としては1円でも多く回収したいところでしょうから任意売却での売却が決まるのはうれしいことなのです。

つまり、二束三文で競売で落札されたり、入札者がいないくらいなら、任意売却で確実に第三者に買ってもらいたいわけです。

 

任意売却は売り急いでいるから交渉の余地がある

開札が始まってしまったら、任意売却はできません。

ゆえに、任意売却はスピードが肝心です。

これが結構大事なところで『早く売る』ということは、金額に直結することなのです。

要は売主側に、売り急いでいるという弱みがあるので、安く買うことが可能になるのです。

とはいっても、債務金額との折り合いも必要になります。

ここが3者(債権者、仲介業者、購入希望者)の交渉の山場になるわけです。

 

交渉のカギは仲介業者がすべてを握っている?

おひょいさんはフットワークが軽く、東京から週に何度も我が家に通ってくれます。

そのたびに、債権者はこう言っていた、ああいっていたと伝えてくれます。

けれど、ここは間違えてはいけません。

私たちはワンチームではありません!!

我が家の仲介業者であると同時に、債権者の仲介業者でもあるわけです。

なによりも、一度きりの取引の我が家に有利に話を進めるよりかは、債権者(今回はとある保証会社)有利のほうが絶対にいいのです。

だって、そうすれば保証会社に恩が売れて、より強靭なパイプが作れるから。

一見、私たちにすごく寄り添ってくれている風ですが、鷹の目でジワジワと仕留めにかかります。

ここが海千山千のおひょいさんの恐ろしいところ!

 

そろそろ呑気なAさんと占有者Mを登場させるとしようか

こちらが高度な交渉を繰り広げている中、ブロック塀ひとつ超えたAさん宅は、相変わらずカオスな状態。

毎日Mはおんぼろのキャデラックをブロンブロンいわせながら、歩いて2分のセブンイレブンへ向かっていく。

夕方になると、Aさんがヘラヘラ玄関先に出てきて自分の現状を他人のうわさ話のように話しだす。

我が家が密かにおひょいさんとだけでなく、Aさんの債権者との交渉を始めているというのに!

そう、先ほど私は3者間交渉といったけれど、お花畑のこの二人組を忘れていた!

実際は5者間交渉なわけね。

任意売却で占有者がいる場合は裁判になる事も

いざ任意売却で話を進めると決まった今、実は一番この二人が脅威なのです。

というのも、前にも書いたように、競売ならばいくらこの二人がごねても強制執行によって追い出すことが可能です。

(※)強制執行

落札代金納付が済めば、晴れて落札者が所有者になります。

それでも占有者が居残っている場合は『不動産引き渡し命令の申し立て』をします。

すると、裁判所が占有者に対して『不動産引き渡し命令』を出してくれます。

それでも占有者が立ち退かない場合は『強制執行の申し立て』を経て、『強制執行』を催告、断行します。

けれど任意売却の場合は、裁判所が追い出してくれるわけではありません。

これも明け渡しの時期など具体的なことを交渉しなければいけないのです。

所有権移転後に出て行ってくれない場合は、裁判を起こすしかありません。

というわけで、次のミッションは始まりました。

決済までにAさんとMを引っ越しさせること。

 

結局のところお金で何とかなる・・・はず

結局のところお金で何とかなる・・・はず

金がない金がない、と毎日繰り返しては小料理屋へいそいそと出かけていくAさんをチラ見しては、ため息ばかりついてしまいます。

そのお金で引っ越ししようよ!

本人は、もうなるようになるさ、と状況をわかっているように見えてまるで理解していない。

とにかくこの家にいてもどうしようもない、ということだけはわかっていて引っ越すことは了承している様子。

けれど、おひょいさんに「Mをおいて一人で引っ越ししてはダメ」ときつく言われているらしい。

肝心のMは、いまだに2階に鍵をかけて、セブンイレブンに出かける以外は立て籠もり中なので手の打ちようがないという。

それにこの期においてもMの今後が心配らしい。

間違いなく自分の心配をするときだよ!と心の中で言っています。

東京のど真ん中の不動産屋を経営する海千山千のおひょいさん。

車で1時間かけて月に3万円の1K、2部屋を探し回る日々。

お金もない、仕事もない、保証人もいない、無い無い尽くしのMでも入居できるアパートは見つかるのか?

知らないうちに始まった淡い同棲生活に突然訪れた別れ。

離れて暮らすのは不安でいっぱいだけれど、Aさんは果たして『M離れ』ができるのか?

to be continued・・

続きはこちらからどうぞ

任意売却はイレギュラーなことばかり!おひょいさん、ついに堂々寝返るの巻

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