地続きは借金してでも買えって言いますよね。
もう3年ほど前に購入済みなんですけれども。
これがまた、なかなかイレギュラーな経緯で購入することができたのでシェアさせてください。
- 地続き隣を狙っているという方
- 競売物件に興味があるという方
の参考になりますように。
我が家がずっとほしかった地続きの隣地をゲットできたお話です。
- 地続きの隣地が銀行に差し押さえられた
- このままでは競売に!
- 入札しようとコッソリ観察すると謎の占有者が!
- 競売よりも安心に隣地をゲットできる方法はないのか?
少し長くなってしまいそうなので、数回に分けてお送りします。
競売物件に占有者がいたら?!どうしても欲しい隣地がついに差し押さえに!
もしチャンスがあるならば、どうしても欲しいと思っていた隣地。
もちろん、単純に土地が大きくなるから、という理由もありますが、実はそれだけではありませんでした。
まずは我が家とお隣さんの土地の地型の説明からどうぞ。
我が家の隣地を簡略的に書いた図です。
私道の幅は約5メートル。
何が問題かというと、我が家とお隣さんの接道幅はそれぞれ約2.5メートルということ。
敷地自体はそれほど狭くないのですが、とにかく入り口が狭いのです。
画像で見たほうがわかりやすいかもしれません。
現在のものですが、こちらをご覧ください。
画面左上が私道。
右側ににふたつ並んだマンホールが、我が家と隣地の宅内最終桝です。
アスファルトの色が微妙に違いますが、手前の色が濃いほうが我が家の敷地。
向こう側の薄いほうが隣地の敷地です。
角度を変えてもう一枚。
境界プレートがうってありますね。
隣地は同じ私道を共有した形で接地していて、旗竿状の地型(敷延)になっています。
競売物件に占有者がいたとしても手に入れたい!実は2度目のチャンスだから!
うちが自宅の土地を購入したときは、隣地の所有者はTさんという方でした。
Tさんは、ここからすぐ近くのところへすでに引っ越していて現在空き家。
ここへは娘さんがピアノを弾きに来たり、物置として使っているようでした。
その頃は、隣地との境界に背丈くらいのブロック塀があって、車の出し入れが今よりももっと不便でした。
隣地を購入してブロック塀を取り壊してしまえば、車の出し入れもグッと楽になるし、土地自体の価値も上がるだろう。
Tさんがもしも自宅を売りに出すようなことがあったら是非購入したいと常々思っていました。
そのうちに、Tさんが自宅の荷物を連日運び出している雰囲気に。
今度Tさんに会ったらそれとなく聞いてみよう、なんて思っていました。
そんな風に悠長に構えていたら、あっという間に買い取り業者に買われてしまいました。
我が家は庭として隣地がほしいだけで、お隣さんの家自体は必要ありません。
リフォームをされて不必要な付加価値ができてしまった隣地は、我が家の予算からだいぶ外れてしまい泣く泣く購入をあきらめました。
ちなみに、このときの買い取り業者が境界のブロック塀を数段取り壊してくれて、ほんの少し車の出し入れがしやすくなりました。
競売物件の占有者の序章、ミステリアスな隣人現る
その後すぐ、隣地にAさんという方が引っ越してきました。
Aさんは50代くらいの一人暮らしの男性で、成人したお子さんがいらっしゃるようでした。
なかなか子供に会えないから寂しいんだと、うちの子供たちにすごく親切にしてくれました。
けれどすごく変わった方で、こちらがびっくりするようなこともチラホラ。
Aさんが引っ越してきて1年ほど経ったころです。
すっかり隣地購入に関しては諦めていたんですけれど、母からちょっと気になる噂話を聞きました。
どうやらAさんの家がもうすぐ競売(正確には公売)にかかるらしいんだけど、何をどうしたらいいかわからなくてAさんが参っているらしい
母の友人の小料理屋さんのママからコソッと耳打ちされた話で、どうやら信憑性の高そうな雰囲気。
その小料理屋の常連さんには、地元の信金に勤めている方もいて、あれこれアドバイスをしたりしているそう。
けれど肝心のAさんがちっとも動かないから、たぶんこのまま競売になっちゃうだろうね、とのことでした。
競売までカウントダウン!絶対欲しいけど、第三者の占有者の気配あり
実は私、独身時代に買い取り業者で営業をしていたんです。
もともと競売による物件取得を得意とする会社でした。
けれど今のご時世、なかなか業者が落札するのも難しく、仕事の内容のほとんどは任意売却(任売)によるものでした。
結論としては、地域性とか土地の特性とかいろいろな観点から、Aさんの家を入札する業者はいないだろう。
顔も素性も知れているお隣さんですし、競売よりも任売で、100%対面交渉で穏便に話を進めていこうと思ったのです。
実は、Aさんの自宅にAさん以外の『占有者』がいる気配があるのです。
なにしろAさんはちょっと変わった謎多き人物なので、その占有者が悪意を持った占有者なのかわかりません。
占有屋は絶滅、だけど競売は占有者のトラブルが多い
誤解を生んでしまっては困るので、もう少し詳しく説明しましょう。
平成16年に民法395条の改正によって『短期賃貸借保護制度』(※)というものが廃止されました。
:抵当権が登記された後に設定された短期賃借権は、抵当権に対抗できるという制度。
本来ならば、抵当権が実行された場合(競売など)、賃借権は抵当権に対抗できません。
つまり、第三者が落札した後、その家を借りている人は出ていかなければいけません。
けれど、短期賃借権という権利に限っては、契約期間中(住宅の場合3年以内)は住み続けてもいいという制度。
さらに、『明け渡しの強制執行の申し立て』ができるようにもなりました。
つまり、いくらゴネたところで必要な手続きを踏んでいけば、裁判所の執行官によって強制的に追い出されてしまうのです。
というわけで、昔のアングラな映画に出てくるようなプロの占有屋はもう絶滅したと考えていいでしょう。
しかし実際のところは、395条が改正されたからといって、占有に関するトラブルが全く無くなったわけではありません。
所有者自身が物件を取り上げられたくなくて抵抗を繰り返す場合があります。
引っ越し代と称して金銭を求められるのはよくある話。
明け渡し当日、物件へ入ってみたら所有者が首吊り自殺をしていたなんてことも。
たとえば、寝たきりの老人がいたり、浮浪者が住み着いていたなんてのも聞いたことがあります。
謎すぎる占有者、いったい何者?
Aさん以外の占有者(Mとします)はAさん宅の狭い敷延部分に、ボロボロのキャデラックを停めていました。
この画像を見ても隣地のスペースはこんなに狭いのに、さらに数段のブロック塀があった頃です。
思い起こしてみると、競売になるかもという話を聞く半月くらい前からキャデラックが停まっていました。
我が家も車の出し入れが大変なのに、常にサイドミラーがうちの敷地に越境した格好で車が停まっている状態。
そのうえキャデラックに乗り込むときは、わざわざうちの敷地に入って助手席から乗り込むという有様。
Aさんは庭先でバッタリ会ったときなんかに
「うちのがすいませんね~こんなでかい車、停めちゃって~」
なんて言うもんだから、Mのことを勝手にAさんの息子さんだと思いこんでいました。
けれど競売の話を耳にして、本格的にお隣の購入を検討し始めていた私は、謎の占有者Mについてきちんと話を聞いておこうと考えました。
競売になるのに占有者あり!その予想外の正体は?
何気なくAさんに声をかけてみました。
するとAさんはガハハと大きな声で笑いながら答えました。
『あいつ、息子でも何でないよ!俺もよく知らないやつ!』
・・・・・
・・・・・・・(唖然)
なんとMは息子なんかじゃなかったのです。
数年前にいた職場で数ヶ月間、一緒に働いたことがある(M曰く)、というだけのあかの他人だったのです。
競売になると知って居座っている?占有者はかなりヤバイ奴だった
よく知らない人と同じ屋根の下で同居しているというだけでも十分おかしな話ですが、そこに至った経緯もとんでもない話でした。
ある日突然、軽トラックにソファーやテレビなどの家財道具を積んで
「以前一緒の職場で働いたことがあるMというものだけど、少しの間、荷物を置かせてくれ」
と訪ねてきたそうです。
相手のことを余りよく知らなかったけれど、困っているならと2階のひと部屋を貸してあげたのが運の尽き。
次から次に荷物を運び入れてきて、とうとう本人まで住み着いてしまったとのことでした。
さらには、Mは現在無職で一日中Aさんの家にいるんだとか。
Aさんが朝のうちに用意していた夜ご飯は、仕事から帰ってくると勝手に食べられ
現金を家においておくと次の日には無くなり
今では3部屋ある2階の部屋すべてを占拠されているとか。
けれどここからがAさんのミステリアス真骨頂。
「いや~参ってるんだけどさ、かわいい奴なんだよな。
出てってくれっていってんだよ。俺も。
もう差し押さえされちゃってるし、どうせここにはいらんないんだから。
でもドアから窓から全部鍵かけられちゃって入れないし
無理に追い出すのもねえ。かわいそうじゃん?」
なんて至って呑気。
「あいつに全部金とられちゃって、俺の食うもんなんもないよー」
なんていいながらニタニタする始末です。
競売で入札しても大丈夫?占有者を観察してみる
これは悪意のある占有者なのか?
はたまたただのヤバイ奴なのか、しばらくMのことを観察することにしました。
一見したところ30代前半。
ボロボロのキャデラックは前述のとおりで、全身刺青だらけの金髪のロン毛。
毎日タンクトップにハーフパンツ。
歩いて2分のコンビニにキャデラックで買い物へ出かける以外、外出はあまりしていない様子。
絵に描いたような『怖い人』ですけど、たまに庭先で会うと
「いつも車停めてて、すいません」
なんて、低姿勢で礼儀正しいところも。
上に書いたとおり、現在では占有屋という商売は成り立たないはず。
だけどAさん、Mともに謎過ぎて、混乱の極み。
これはうちが購入を検討していると感付いてて、グルになって明け渡し料をふんだくろうという魂胆?
それとも悪玉MにAさんが操られてる?
はたまた、本当にただの困ってるだけのいい奴?
こうして、私は探偵バリの臭覚をもって、さらにMの情報を調べ始めるのです。
To Be Continued・・・